内臓脂肪型の肥満がホワイトカラーの中高年男性に多いのは、運動不足やストレスが原因ではないかと考えられます。
最近の研究により、ストレスが原因の肥満では、皮下脂肪よりも内臓脂肪が付きやすいことがわかりました。
運動不足とストレスと内臓脂肪の関係について、ご紹介します。
運動不足とストレスが内臓脂肪を増やす
最近の研究で、内臓脂肪が多過ぎると、血圧が高くなったり、血糖値が高くなったり、血液中の脂肪分が多くなったりすることが分かってきました。
日本人は人生の後半で血圧が高くなったり、血糖値が高くなるなどの生活習慣による体調不良で苦しむ人が多く、せっかく長生きしても人生を楽しめない原因となっています。
働き盛りのお父さんや、退職したばかりで第二の人生を楽しみにしていたお父さんが、これらの生活習慣による体調不良で亡くなることも珍しくありません。
働き盛りのお父さんたちにとって、運動不足やストレスは内臓脂肪を増やす大きな原因となっています。
運動不足がどうして内臓脂肪を増やす原因となるのか?
人間は口から栄養を取り入れて、胃や腸で消化吸収し、健康な体を維持するのに必要なエネルギーを補給しています。
口から取り入れる栄養と体が使う栄養の量が完全に一致していれば何の問題もないのですが、完全に一致させるのは難しいものです。
時には口から入れた栄養が余り、時には足りないこともあります。
体を動かしたり、健康に保つための栄養が足りなくなったら困るので、口から取り入れた栄養が余った場合、体は小腸のそばにある内臓脂肪に余った栄養をストックしておきます。
内臓脂肪に蓄えられた栄養は、予定の時間に次の栄養が入って来なかったり、普段よりも激しい運動をした場合に使われます。
しかし、栄養はどんどん入ってくるのに、運動不足などで使う機会が一向にやってこないと内臓脂肪はどんどん膨らんでいってしまうのです。
パソコンが仕事にも広く使われるようになったため、仕事をするにもデスクワークが多く、会社ではほとんど座りっぱなしという人は珍しくありません。
現場で汗をかいたり、体を動かす機会の多い人よりも、冷暖房完備の室内でデスクワークをする人のほうに内臓脂肪が貯まりやすいのは、運動不足が原因だと言えるでしょう。
運動不足が内臓脂肪のボリュームアップの原因であれば、ジョギングやエクササイズなど軽めの運動で体を動かせば、内臓脂肪はわりとすぐに減ってくれるものです。
運動をする時間をまとめて取れない人でも、エスカレーターの代わりに階段を使う、通勤ではバス停1つ分多めに歩くなど、日常のちょっとした工夫で運動不足を解消できます。
車で買い物に行く際は入り口から遠い駐車スペースに停めて少しでも余計に歩く、家事をする時に意識してキビキビ体を動かす、このくらいのことでも内臓脂肪は減ってくれます。
ストレスがどうして内臓脂肪を増やす原因となるのか?
ストレスが原因で自律神経のバランスが崩れ、食べれなくなってやせる人がいます。
しかし、ストレスが原因で太る人もいます。
ストレスが原因で太るメカニズムを説明しましょう。
まず、ストレスによって体の中に活性酸素が大量に発生し、この活性酸素が細胞の中で栄養をエネルギーに変換するミトコンドリアを傷つけます。
ミトコンドリアを傷つけられた細胞はエネルギーの変換効率が落ち、結果としてストレスがかかっている時は、食べた栄養を使いきる力が体になくなってしまいます。
ストレスがかかっている間も、普段と同じように食べていると、取り入れた栄養は使い切れずに残ってしまいます。
そして余った栄養は、脂肪として蓄えられていくのです。
アメリカのウェイクフォレスト大学医学部の研究チームが、ストレスと内臓脂肪の関係について報告したのは2009年のことです。
この研究チームは、ストレスが内臓脂肪を増やす原因となり得るかを調べるため、サルの群れに高カロリーのエサを与え、群れの中で順位の違いで内臓脂肪の付き方に違いが出るかを観察しました。
そして、群れの順位が下のほうで、いじめられたり仲間はずれにされているサルは内臓脂肪が付きやすいという結果が出たのです。
アメリカでは、社会的ポジションが低くて、経済的にもあまり恵まれていない人たちの間で内臓脂肪型の肥満が多いことが以前から指摘されていました。
脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪がありますが、生活習慣による体調不良の原因になるのは内臓脂肪のほうです。
アメリカのこの研究によって、ストレスによって太るのは健康にかなりマイナスであることが明らかになりました。
同じようなストレスがかかっても、男性より女性のほうが内臓脂肪が付きにくいのは、女性ホルモンに内臓脂肪を付きにくくする働きがあるからです。
しかし、女性でもストレスがかかり続けると月経周期が狂い、ついには全く止まってしまうこともあります。
月経が止まってしまう、つまり月経周期を回す女性ホルモンの分泌が悪くなると、内臓脂肪を付きにくくするためのブレーキが利かなくなるので、女性でも内臓脂肪が増えていくことが考えられます。
ストレスが原因での肥満は、内臓脂肪を増やし、血圧が高くなったり、血液中の脂肪が多くなったり、血糖値が高くなるなどの生活習慣による体調不良にかかるリスクを押し上げます。
さらに、運動不足は寝つきを悪くし、ストレスの解消を妨げます。
ストレスで内臓脂肪を増やさないようにするため、また、付いてしまった内臓脂肪を落とすためにも、意識して体を動かすようにしましょう。