血液検査をすると中性脂肪を知ることができます。
健康診断などで中性脂肪が高いと言われ、普段の食生活や生活習慣を改善するようにと医師から指導されたことがあるという人もいるのではないでしょうか。
中性脂肪は基本的に食生活や生活習慣などが大きな原因になっていることから、これらを改善することで下げることができます。
ですが毎日の食事などをすぐに見直すのは難しい、生活習慣を整えるのは難しいという人も多く、上手に中性脂肪のコントロールをすることができないという人も多いのが現状です。
そこでこれらを少しずつ改善しながら、漢方薬を取り入れて中性脂肪を上手にコントロールしていきましょう。
中性脂肪は人間にはなくてはならないもの!!でも・・・
中性脂肪は悪いものというイメージを持っている人が大半ですが、私達の体にとってなくてはならないものです。
中性脂肪はエネルギー源であるブドウ糖が不足した時に、それを補うためのエネルギー源となります。
ですが燃焼することができなかったブドウ糖は肝臓で中性脂肪となり、皮下脂肪として蓄えられてしまいます。
こうして中性脂肪が蓄積されることで肥満となり、肥満は様々な疾患の引き金になってしまうのでバランスがとても重要です。
中性脂肪を下げる効果を期待できるおすすめの漢方薬とは
漢方薬は自然界にある植物や鉱物などを原料として作られた薬のことです。
中国の伝統医学である中国医が5世紀頃に日本に伝わり、日本の風土や日本人の体質に合わせて独自の伝統医療として発展しました。
この中で一緒に発展してきたのが漢方薬であり、漢方薬には体のバランスを整えたり、巡らすという考え方が基本となっています。
では中性脂肪を下げることができ、コントロールに役立てることができるおすすめの漢方薬にはどんなものがあるのでしょうか。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散はお腹の脂肪を落とす漢方薬として中性脂肪のコントロールに役立てることができる漢方薬の一つです。
防風通聖散は体にこもった熱を発散させて病気を取り除く作用のある漢方薬ですが、防風通聖散に配合されている生薬の効果によって中性脂肪にアプローチします。
防風通聖散の成分と効果・効能は以下の通りです。
生薬と成分 | 効果・効能 |
桔梗(サポニン・イヌリン) | ・サポニンの発泡作用によって脂質を溶かす。 ・水溶性食物繊維であるイヌリンが食事から摂取した糖質を取り込んで体外に排出させる。 |
生姜(ジンゲロン) | 脂肪燃焼を促進し、血液中の中性脂肪やコレステロールを改善する。 |
山梔子・甘草 | 強い抗酸化作用で血流を改善させる |
芍薬 | ・血小板の集まりを防ぎ、血液をサラサラにする。 ・血管を広げる作用を持ち血流を改善させる。 |
参照元
大柴胡湯(だいさいことう)
大柴胡湯も中性脂肪のコントロールに役立てることができる漢方薬の一つであり、体の熱や炎症を取り除くことで体の機能を高めることができるとされている漢方薬です。
大柴胡湯に配合されている生薬と効果・効能は以下の通りです。
生薬 | 効果・効能 |
サイコ・オウゴン・ダイオウ・キジツ・タイソウ・シャクヤク・ハンゲ・ショウキョウ | ・腸管での脂質の吸収を抑える。 ・肝臓での脂質の代謝を促進する。 ・大腸で脂質が再吸収される前にすばやく排出させる。 |
脂質の代謝の要となるのが肝臓であり、食事で摂取した脂質は小腸で吸収されて血液によって全身に届けられています。
肝臓の代謝機能が低下して脂質を燃焼することができないと余分な脂質は中性脂肪となり蓄積されてしまうことから、大柴胡湯によって肝臓の脂質代謝機能を改善することで中性脂肪を下げることができます。
参照元
防已黄耆湯(ぼういおいぎとう)
防已黄耆湯は体の余分な水分を取り除くことで血液の循環を改善する漢方薬であり、消化吸収の働きを助ける作用があることから、防已黄耆湯で胃腸の機能を高めることで体に必要なエネルギーを作り出し、消費を促進することができることから中性脂肪を下げるのに役立てることができます。
防已黄耆湯に配合されている生薬と効果・効能は以下の通りです。
生薬 | 効果・効能 |
ボウイ・オウギ・ビャクジュツ・タイソウ・カンゾウ・ショウキョウ | ・胃腸の機能を高める。 ・体内の余分な水分を緩やかに排出する。 |
参照元
中性脂肪を落とすための漢方薬の取り入れ方とは
漢方薬は植物や鉱物などの生薬を2つ以上組み合わせて作られており、漢方薬を飲み慣れない人にとっては独特の味や舌触りなどが気になります。
これまで漢方薬を使ったことがないという人にとっては、いつ飲むのか、どのように飲むのかなどわからないことも多いのではないでしょうか。
漢方薬を飲むタイミングは?
漢方薬を飲むタイミングは食前または食間とされています。
一般的な錠剤やカプセルは空腹の時に服用すると胃の粘膜に直接くっついてしまうため傷つけてしまうことから食後とされていることが多いのですが、漢方薬の場合は基本的に粉末や液体であることから空腹時に服用しても特に問題となることはありません。
また生薬の種類によっては、食事で摂取するブドウ糖によって成分が上手く吸収されなくなってしまうことから胃の中に何も入っていないと考えられる食前や食事と食事の間である食間に飲むことで効果や効能をより高めることができるようになります。
漢方薬はお湯で飲む?水で飲む?
基本的にお湯で飲んでも水で飲んでも効果や効能に明確な違いはありません。
錠剤やカプセルタイプの薬に比べると多少飲みにくい傾向にあることから、飲みやすい方で飲むようにしましょう。
またお茶やジュース、牛乳などお湯や水以外の飲み物で漢方薬を飲むと錠剤やカプセルタイプの薬と同様に、成分の吸収が悪くなり効果や効能が薄くなってしまう可能性があるので注意しましょう。
中性脂肪のコントロールに漢方薬を取り入れる際の注意点
植物や鉱物由来の生薬から作られていることから、なんとなく漢方薬には気になる点がない、病院などで処方される錠剤やカプセルタイプの薬に比べると気軽に飲むことができると言ったイメージを持っている人も少なくないのではないでしょうか。
ですが、中性脂肪のコントロールに漢方薬を取り入れる場合は以下の2つに注意をしましょう。
漢方薬にも気になる点がある!!
一見、気になる点はないように思える漢方薬ですが、漢方薬にも気になる点はあります。
中国最古の薬物書では漢方薬などの薬物を長期に使っても毒がなく不老延年を望むもの、場合によって毒があるもの、病を治すことができるが毒を多く含み久しく飲んではいけないものなど上薬、中薬、下薬の3段階に分けています。
中性脂肪のコントロールに取り入れることができる3つの漢方薬を慎重に取り入れるべき人は以下の通りです。
慎重に取り入れるべき人については、漢方薬の作用によって元々ある症状が悪化する可能性もあります。
漢方薬 | 慎重に投与すべき人 |
防風通聖散 | ・胃腸の虚弱な人 ・下痢や軟便のある人 ・食欲不振、吐き気、嘔吐などがある人 ・著しく体力の衰えている人 ・循環器系の障害のある人 ・血圧が異常に高い人 ・腎障害のある人 ・排尿障害のある人など |
大柴胡湯 | ・下痢、軟便のある人 ・胃腸の虚弱な人 ・著しく体力の衰えている人 |
防已黄耆湯 | なし |
漢方薬を飲み始めて気になる症状が現れた場合はすぐに飲むのを中止して、専門医を受診するようにしましょう。
高齢者や妊婦、小児が漢方薬を飲む場合
高齢者や妊婦、障子が漢方薬を飲む場合にはどの様な点に注意すればいいのでしょうか。
高齢者の場合
高齢者の場合は一般的に生理機能が低下していることから、中性脂肪を下げる漢方薬によって減量することで体力が低下するなどに注意し、取り入れる際は必ず専門医またはかかりつけ医に相談するようにしましょう。
妊婦の場合
基本的には漢方薬であっても妊娠している女性は飲まないことが望ましいとされています。
例えば生薬の中には子宮の収縮を促す作用のある生薬もあり防風通聖散に含まれる防風通聖散や大柴胡湯などに含まれるダイオウがその代表的な生薬であり、流産や早産の危険性があるとされています。
使用をする場合は必ずかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。
小児の場合
古い歴史を持つ漢方薬ですが、実は小児に対する安全性は確率されていません。
これは使用経験が少ないことが理由となっており、基本的には成人に限って使用するものとされています。
もし子どもに使用する場合は必ず専門医やかかりつけ医に相談をしましょう。
飲み合わせに注意が必要!!
漢方薬を取り入れる際は他の薬との飲み合わせに注意をしましょう。
効果や効能ばかりに気を取られて、むやみに漢方薬を飲むと相互作用で必要以上に効き目が強まってしまったり、逆に効き目が弱まってしまう可能性もありますし、飲み合わせによっては気になる点が出てくる可能性もあります。
中性脂肪を下げる3種類の漢方薬の飲み合わせの注意については以下の通りです。
漢方薬 | 飲み合わせに関する注意点 |
防風通聖散 | ・エフェドリンやテオフィリンなどの副交感神経刺激作用のある薬との併用は注意が必要。 ・芍薬甘草湯などカンゾウを含む他の漢方薬を一緒の飲む時は注意が必要。 |
大柴胡湯 | ダイオウを含む他の製剤との併用に注意が必要。 |
防已黄耆湯 | 芍薬甘草湯などカンゾウを含む他の漢方薬を一緒の飲む時は注意が必要。 |
中性脂肪を下げる漢方薬のまとめ
防風通聖散や大柴胡湯、防已黄耆湯などの漢方薬は中性脂肪のコントロールにおすすめの漢方薬です。
ですが漢方薬と言っても気になる点があったり、飲み合わせなどの注意点も多くあり、取り入れる際は自分の体調や他に服用している薬がないかなどしっかり確認して取り入れるようにしましょう。
また漢方薬はあくまでもサポートとして使用し、中性脂肪を下げるためには食生活や生活習慣の改善を基本にしましょう。