悪玉コレステロールはなんとなく体に悪い、病気の原因になるとイメージしている人も多いのですが、必ずしも体に不要なものというわけではありません。
もともとコレステロールはホルモンの材料やビタミンの代謝に使われることから、少なすぎても多すぎても健康に影響を及ぼしてしまいます。
ですが、多すぎることで重大な疾患の引き金になってしまいますし、現代の日本人の食生活はコレステロール値が高くなる傾向にあるので、悪玉コレステロール値を上げてしまう食べ物、そして悪玉コレステロール値を下げる食べ物を知って上手に悪玉コレステロール値の管理を行いましょう。
悪玉コレステロールを上げる食べ物はコレ!!
現代の日本人は食の欧米化によって悪玉コレステロールの数値が高くなりやすい傾向にあります。
コレステロールは主に卵や魚類、肉類に含まれている!!
まずはコレステロールを多く含む食べ物の一覧を見てみましょう。
食べ物 | 可食部 | コレステロールの量 |
卵黄 | 約22g(1個分) | 286㎎ |
するめいか | 25g | 245㎎ |
子持ちししゃも | 50g | 170㎎ |
鳥レバー | 50g | 185㎎ |
コレステロール値の高い人は一日に摂るコレステロールの量を300㎎以下に抑えるように医師から指導されることから、卵黄を1つ食べると一日の摂取量になってしまいます。
また魚類や肉類の中にもコレステロールを多く含む食べ物があり、普段の食生活を振り返って、これらの食べ物をよく食べているという人は注意が必要です。
飽和脂肪酸が悪玉コレステロールを増やす!!
飽和脂肪酸とは、バターや生クリーム、チーズや肉の脂身など動物性脂肪のことです。
また植物油の一種でもパーム油なども飽和脂肪酸であることから悪玉コレステロールを増やす原因になってしまいます。
トランス脂肪酸にも注意が必要!!
マーガリンやショートニング、ファットスプレッドに含まれているのがトランス脂肪酸です。
例えばファットスプレッドはシュークリームやエクレアなどの中に入っているクリームを半固形状にするために使用されています。
トランス脂肪酸も飽和脂肪酸と同じように悪玉コレステロール値を上げる油です。
悪玉コレステロールを下げるために、まずは油に注目!!
悪玉コレステロールを下げるためにはどのような油を摂るようにすればいいのでしょうか。
不飽和脂肪酸を積極的に取り入れる
悪玉コレステロールを下げる際に取り入れたいのが不飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸は常温でも固体の状態を保っていることができますが、不飽和脂肪酸は常温では液体になるのが特徴の1つです。
脂肪酸の種類 | 作用 | 代表的な食品 | |
多価不飽和脂肪酸 ★人間の体内で作ることができない | リノール酸 (オメガ6系) | 悪玉コレステロールを減らす(ただし摂りすぎると善玉コレステロールも減らしてしまうので注意が必要) | ひまわり油、コーン油、大豆油、紅花油など ブラジルナッツ、ひまわりの種、松の実などのナッツ類 |
DHA (オメガ3系) | ・悪玉コレステロールを減らす ・血液をサラサラにする | すじこ、真鯛、ぶり、サバなど | |
EPA (オメガ3系) | すじこ、はまち、いわし、にしん、サバなど | ||
リノレン酸 (オメガ3系) | 悪玉コレステロールを減らす | えごまオイル・亜麻仁油・ピーナッツ・くるみ・チアシード・緑黄色野菜など | |
一価不飽和脂肪酸 ★人間の体内で作ることができる | オレイン酸 (オメガ9系) | 善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールを減らす | オリーブオイル、菜種油など ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツなど |
悪玉コレステロールを下げるためには油をできるだけ控えるべきだと思う人も多いのですが、摂取する油が飽和脂肪酸なのか?不飽和脂肪酸なのか?を確認しましょう。
飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを上げてしまう油ですが、不飽和脂肪酸は積極的に取り入れることで悪玉コレステロールを下げることができます。
特にオレイン酸は善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールを下げることができるので近年注目されている脂肪酸です。
またオレイン酸は酸化しにくく加熱調理に向いているので、調理にも取り入れやすいのが特徴です。
オメガ6系の過剰摂取に注意する
オメガ6系であるリノール酸は悪玉コレステロールを減らす作用のある脂肪酸ですが、摂りすぎると善玉コレステロールも減らしてしまいます。
食の欧米化によって現代人はオメガ6系を摂取しすぎている傾向にあり、お菓子やパン、マヨネーズやインスタント食品、惣菜などの加工食品、手軽に食べることができるファーストフードなどにも多く含まれています。
知らず知らずのうちにオメガ6系であるリノール酸を摂取している傾向が強いことから、悪玉コレステロールを下げたいのであればオメガ3系やオメガ9系を積極的に取り入れていきましょう。
参照元悪玉コレステロールを下げる食べ物はコレ!!
悪玉コレステロールを下げる食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。
水溶性食物繊維を含む食べ物
水溶性食物繊維を積極的に取り入れることで水溶性食物繊維が血液の中のコレステロールを絡め取り、体外に排出してくれます。
また水溶性食物繊維は水に溶けるとゲル状になることから、胃の中に入ってきた食べ物を包み込み、不要なコレステロールの吸収を抑えることもできます。
また水溶性食物繊維は腸内で善玉菌の餌になることから腸内環境を改善することができるのでコレステロールの排出にも役立てることができます。
参照元水溶性食物繊維の種類 | 含まれている食べ物 |
グルコマンナン | こんにゃく |
ペクチン | りんご・キャベツ・かぼちゃ |
フコイダン | 昆布・わかめ・もずく |
リグニン | ココア・豆類・いちご |
アガロース | 寒天 |
β―グルカン | 大麦・まいたけ・海藻類 |
アルギン酸 | 海藻類 |
ムチン | 山芋・オクラ・モロヘイヤ・うなぎ |
イヌリン | ごぼう |
ガラクタン | 寒天・里芋 |
DHA・EPAを多く含む食べ物
オメガ3系であるDHAやEPAは血液をサラサラにする作用や悪玉コレステロール値を下げる作用を持っています。
どちらも人の体内では作り出すことができない脂肪酸であることから、積極的に食事に取り入れる必要があります。
DHAやEPAは魚の油に含まれる脂肪酸で、特にイワシやサバなどの青魚に多く含まれています。
中でもEPAは成人が積極的に取り入れたい脂肪酸であり、血管や血液の健康維持や悪玉コレステロールを下げるのが狙いという場合はDHAではEPAの働きを完全にカバーすることができるというわけではないのでEPAの摂取を意識しましょう。
多く含まれる食べ物 | |
DHA(ドコサヘキサエン酸) | ぶり、サバ、サンマ、うなぎなど |
EPA(エイコサペンタエン酸) | まぐろ、サバ、ぶり、サンマなど |
DHAやEPAは魚の油の部分に多く含まれていますが、それは身の部分ではなく内蔵や皮、頭や骨などに多く含まれています。
できるだけ丸ごと食べることでDHAやEPAを効率的に摂取することができます。
またDHAやEPAは熱で壊れやすい性質を持っていることから、できるだけ生の状態で食べることが好ましいのですが青魚などの場合は調理で出た魚の油もタレなどに混ぜて一緒に摂取できるようにするなどの工夫をすることで、しっかり摂取することができます。
参照元リノレン酸を多く含む食べ物
悪玉コレステロールを下げる際に取り入れたい油がオメガ3系やオメガ9系ですが、オメガ3系にはDHAやEPAの他にリノレン酸があります。リノレン酸は体内に吸収されるとDHAやEPAに変化する脂肪酸であり、必須脂肪酸として悪玉コレステロールを下げる作用があります。
多く含む食べ物 |
えごまオイル・亜麻仁油・ピーナッツ・くるみ・チアシード・緑黄色野菜 |
リノレン酸は熱や酸化に弱いことから、加熱調理には不向きでコールドプレスされた油をドレッシングなどで使用する、ナッツ類の保管方法に注意するなど工夫が必要ですが、ナッツ類は小腹が空いた時のおやつなどに取り入れることができます。
参照元SMCSを多く含む食べ物
悪玉コレステロールで今注目されているのがSMCSという成分です。
SMCSは天然のアミノ酸であり、肝臓で悪玉コレステロールを胆汁酸に変換させる酵素を活性させる作用があります。
悪玉コレステロールが胆汁酸に変換されることで体外にスムーズに排出されることから悪玉コレステロールを下げることができます。
多く含まれる食べ物 |
ブロッコリー・キャベツ |
SMCSはキャベツとブロッコリーにしか入っていないことから、毎日必要な量を摂取するのは難しいという場合はサプリメントを活用するのもおすすめです。
参照元イソフラボンを多く含む食べ物
男性よりも女性の方が悪玉コレステロール値が低い傾向にあります。
これは女性ホルモンであるエストロゲンが善玉コレステロールを増やす作用を持っているからです。
そしてこのエストロゲンと似た構造を持ち、似た働きをするのが大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンを積極的に摂取することで悪玉コレステロールを下げることができます。
また閉経後の女性は急激にエストロゲンが減少することから意識して取り入れることで悪玉コレステロール値の上昇を抑えることができます。
多く含む食べ物 |
豆腐・豆乳・納豆・きなこ・ゆば味噌・醤油など大豆を原料にして作られる食べ物 |
また大豆製品にはイソフラボンだけでなく大豆レシチンという成分も豊富に含まれており、大豆レシチンにも悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用があります。
参照元抗酸化作用を持つ食べ物(ポリフェノール)
悪玉コレステロールは血液の中で酸化すると体が異物として排除しようとプラークと呼ばれるコブを作り出します。
コブができることで血管の中が狭くなり、疾患の引き金になってしまうことから悪玉コレステロールの酸化を防ぐために抗酸化作用のある食べ物を積極的に取り入れましょう。
酸化作用を持つ成分をポリフェノールと言い、ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分です。
酸化の原因である活性酸素を除去する作用を持っています。
ポリフェノールの種類 | 含まれる食べ物(飲み物) |
カテキン | 緑茶・紅茶 |
カカオポリフェノール | チョコレート・ココア |
アントシアニン | 赤ワイン・ブルーベリー・なす・ぶどう |
イソフラボン | 大豆製品 |
クルクミン | ターメリック |
コーヒーポリフェノール | コーヒー |
ショウガオール | 生姜 |
フェルラ酸 | 玄米 |
ビタミンCやビタミンEにも抗酸化作用があることから活性酸素の除去などで注目されますが、この他にも抗酸化作用を持つポリフェノールが存在します。
ほとんどのポリフェノールは水に溶けやすく、短時間で作用するものの長時間持続することはないので毎日こまめに摂取するようにしましょう。
悪玉コレステロールを下げる食事の食べ方とは??
悪玉コレステロールを下げる食事の食べ方にはどのようなものがあるのでしょうか。
一汁三菜でバランスよく食材を取り入れる
和食の基本は一汁三菜です。
メイン、副菜、汁物、そしてご飯や漬物など、様々な食材をバランスよく取り入れることができます。
一人分ずつ盛り付けて量を明確にする
大皿料理はついつい食べすぎてしまうという人も多いのではないでしょうか。
また好きなものばかりを食べてしまうという人もいるでしょう。
食事は多少面倒くさくても一人分ずつ盛り付けることで食べている量がわかりやすくなります。
三食のうち一食はメインを魚にする
肉類では動物性脂肪を過剰に摂取してしまうことから三食のうち一食は魚料理をメインにするようにしましょう。
DHAやEPAを多く含む青魚などを積極的に取り入れましょう。
できるだけ自炊をする
外食や買ってきた惣菜などは必要以上に油を摂りすぎてしまいます。
自炊をすることでどのぐらいの油を使っているのかわかりますし、調理の工夫次第で油を減らすこともできます。
悪玉コレステロールを下げる食べ物のまとめ
食事で取り入れる食材や食べ方を工夫するだけで悪玉コレステロールを下げることができ、上手にコレステロールの管理をすることができるようになります。
一度に全てを取り入れるのは難しいという場合でも、まずは和食をメインに自炊をするなど1つずつ取り入れて悪玉コレステロールを下げましょう。